外資系製薬企業勤務と聞くと臨床医と比べて、給料がいいとと想像するところはあると思います。
結論から言うと、通常の勤務医より収入がいいです。
この記事ではどの程度を想定できるのか、実際に働いている私の視点から、福利厚生まで含めて説明します。
目次
給与
一般的な給与について
給与は医師ではない人と全く異なる給与体系になります。
具体的には医師手当がついて、同じランクの社員よりも + 20 – 40 万円/月 程度の収入のようです。
基本的には前職の給与が参考にされます。
私の場合
私の場合は入職時は臨床医のときよりも給与がさがりました。
もともと、一般病院勤務だったので、年齢に対しての給与レンジが高かったことが原因です。
製薬企業に入った30代後半で1500万円程度だったので、このあたりをベンチマークとしてもらうといいと思います。
その後、1年で昇進・昇給し臨床医のときの給与と同額になりました。
さらに、ボーナスによってはプラスになります。
ボーナスは個人業績+会社の業績で左右されます。
収入のだいたい1.0 – 1.3倍程度は動きます。
医師の場合は同じランクの人よりもアウトプットが高いので、1.1倍くらいにはなると思います。
つまり、私は1年で医師のときの給与の1.1倍になりました。
後述するように、さらに希望すれば週末の臨床医バイトの収入がプラスになります。
労働時間を加味すると、医師のときよりも時給換算ではいいのではないでしょうか?
副業としての臨床について
臨床能力を完全に失わないであったり、生きがいという点で副業で臨床を行うという選択肢はあります。
これを許可するかどうかは企業によりけりなので、就職の際によく確認してください。
私は週末に臨床を行っていますが、企業によっては臨床は許されません。
色々な企業と面接をしましたが、概ね臨床については好意的です。私が実際に面接をした10社の中で、1社だけ週末副業がNGでした。
大きい理由としては、学会や講演会参加の妨げになるというものです。
こういった理由であれば、安全性部門などは副業がしやすいかもしれません。
逆に、医師に対して積極的に副業として臨床を行うことをすすめる企業もあります。
そういった企業では平日に臨床を行うことができるようです。
待遇
ポジション
前職でのポジションが参考になって待遇が決まることになります。
私は一般病院で臨床医をしていたので、そこそこの待遇から始まりました。
一方で、研究職から転職した医師の中にはよいポジションではないところからスタートしている方も多いようです。
また、新卒扱いのような待遇の企業もあるようなので (特に内資) ご注意ください。
福利厚生
企業健保などを持っている企業も多く、家族の医療費がただになる、家族の人間ドックの費用補助がでるなどメリットも嬉しいところです。
歯科検診の費用がでる企業もあります。
企業型確定拠出年金の加入などもあり、資産形成の機会についても恵まれています。
退職金も医師のときより多く積まれています。
医師の場合はどうでしょうか?
私の勤務した病院では退職金の支払いがないところもありました。
支払いがあるところでも、雀の涙ほどになります。
上記のことを考えると、臨床医時代と同じ額面であったとしても、実質給与は企業が上です。
福利厚生とは違いますが、早期退職の募集があったときはチャンスです。
年収の1.5 – 3倍程度の手切れ金がもらえるからです。
将来性
将来性についても気になるところかと思います。
医師に対してはマネージャー、もしくはスペシャリストとしての役割が求められます。
マネージャー職
企業によっては医師が社長を勤めているところもありますので、通常の臨床医では到達できないレベルにまでいけます。
色々な企業の方々と話をしてきましたが、ポスト自体は減る流れのようです。
一方で、外資の場合にはMedical affairsの部長レベルは医師であることがGlobal本部から求められることが多いようで、医師に対して部下をマネージメントするポジションをとることの需要は高いです。
部長職で2200 – 2500万円程度が目安です。
それ以上は狭き門になります。
スペシャリスト職
人をマネージしたくないという方にとっては、スペシャリストという道があります。
スペシャリストの場合にはある程度のポジション以上はないのですが、ボーナスなどを含め給与が上がるチャンスは十分にあります。
他にも、医師手当が増えるなど、ベースの給与があがるチャンスはあります。
また、海外のスペシャリストのポジションを取りに行くという選択肢もあります。
年収としては1500 – 2000万円が目安です。
他の企業への転職
転職により給与が上がることが前提となっています。
エージェントによると3年以上とどまって転職すると10 – 15%程度の昇給が望めるようです。
3年ごとに転職して昇給していくのは製薬企業においては一般的な医師のキャリアパスです。
実際に企業の面接でも、転職はマイナス要素にはならないと言われました。
製薬企業における医師の需要は著しく高く、引く手あまたです。
一般的に企業に就職する医師の離職率はかなり高いため、3年以上業界にいる医師の価値は高いです。
海外勤務
海外勤務の可能性は他の社員に比べて断然に高いです。
欧米では製薬企業での医師の需要が高いからです。
給与については手当がつくので、通常は裕福な生活ができます。
いくつかの企業の話を聞いたところでは、日本法人から出されて、Global本社への就職となるところが多いようです。
まとめ
- 給与は全体的に臨床医よりも企業の方が高い
- 副業として臨床を行うことができ、さらに上乗せチャンスあり
- 福利厚生として特典があり、額面以外の実質給与に違いがある
- 退職金が臨床医よりも高い
- 将来的なキャリアとして、スペシャリスト、マネージャー、海外勤務などがあげられる。