製薬企業の謎、メディカルアフェアーズでの仕事

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メディカルアフェアーズについて説明します。

メディカルアフェアーズって製薬企業の人でもよくわからない部門ですよね。

製薬企業の中では比較的新しい部門です。

私は疾患領域レベルでの医療コンサル的な立ち位置だと思っています。

今回はメディカルアフェアーズの役割について解説します。

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メディカルアフェアーズの役割

Unmet medical needsを探り・解決する

メディカルアフェアーズの役割は『Unmet Medical Needs』を探し、解決することにあります。

Unmet medical needsがメディカルアフェアーズのキーワードです。

Unmet medical needsとは、まだ満たされていない医療上のニーズです。

医療上の課題を探し、その医療上の課題を製品を用いてどのように解決するか?ということについて科学で立ち向かう部署になります。

つまり、メディカルアフェアーズの目標は、医療上の課題に対して、適切な製品の使用を見つけ、広めることにあります。

売上を目標としない部門です。

ついつい、売りたくなっちゃいますけどね。

Unmet medical needsの例

この説明だとよくわからないと思うので少し具体的にします。

例えば、会社で偏頭痛の薬剤を開発しているとします。

メディカルアフェアーズの仕事はその薬剤がどのようにして偏頭痛領域の医療ニーズに答えるのか?を明らかにし、解決することです。

もう少し具体的にいうと、

  • 新しい偏頭痛の薬剤は既存の薬剤とどのように違うのか?
  • 治療効果の高い集団はどのようなものか?
  • どのような有害事象があるのか?

などを明らかにします。

ここまでは従来的な役割ですが、近年は徐々にその役割が広がってきています。

製品にこだわったUnmet medical needsの探索ではなくなっているということです。

ここでも具体的にしてみます。

  • 既存薬で効果がでていない集団はどのようなものか?
  • 既存治療をきちんと行えている人はどのぐらいいるのか?
  • 既存治療をきちんと行えていない原因はどのようなものか?

などを明らかにするということが挙げられます。

他にも、治療される前の段階から、治療すべき患者をどのように同定するか?というところの課題を探すこともあります。

どうやって、Unmet medical needsを見つけるの?

一般企業で行われているUnmet needsを見つける方法と似ています。

つまり、インサイトを収集するということとデータを解析するということになります。

どちらの軸も必用です。

順番に説明します。

インサイトとは、本人も気づかない潜在的な考えのことです。

製薬企業は患者さんに直接アプローチできないので、処方を行う医師からインサイトを探ることになります。

そこで活躍するのがメディカルアフェアーズになります。

つまり、医師から直接、その薬剤、疾患領域についてのUnmet medical needsをとってくることになります。

こういった生のデータは非常に重要なInsightとなりうるのですが、ここに専門性が必用になります。

医師と対等に科学的な議論をする必用があるので、高い科学的な思考が求められます。

そして、もう一つ重要なUnmet medical needsの収集方法があります。

それがデータ創出です。

近年、リアルワールドデータと言われる、他の目的で取得したデータの利用が進んでおり、

  • 既存治療で不十分な患者
  • 既存治療が適切に行われていない理由
  • 治療介入が遅くなる理由

こういった部分に対して電子カルテデータ (EHR) 、 診療行為データ (クレームデータ)、 健康アプリのデータ、 アカデミアレジストリーなどを用いて明らかにしていくことになります。

つまり、量的な解釈でニーズを探る形になります。

会社内のデータとしてはメディカルアフェアーズでない部門が作ることが多いですが、メディカルアフェアーズのデータは学術的なレベルをもつ必用があります。

医療業界にインパクトを与えることが目的なので高い質が求められます

つまり、医師と話すに足る内容である必要があるということです。

Unmet medical needsの解決法

Unmet medical needsの解決法はいくつかあります。

一般的なものは講演会です。

コマーシャルの講演会は、製品の良さを引き出すことに主眼をおいていますが、メディカルアフェアーズのものは疾患全体をどのように捉えるか?ということにもう少し重きをおいています。

他にも、疾患啓発などもありますが、このあたりはコマーシャルが行ったりすることもあるので、かなり曖昧な部分です。

アカデミア、企業、自治体などとコラボレーションすることもあります。

メディカルアフェアーズの中の職種

Medical advisor

主に製品(我々はブランドと呼んでいます)のメディカルアフェアーズでの戦略を立てるかかりです。

つまり、講演会の企画を行ったり、どのようなインサイトが必用なのかを決めたり、どのようなデータが必用なのかを決めたりするかかりになります。

他の部門、臨床開発やコマーシャル部門などとも頻繁に足並みをそろえ、全体的なプランの中でのメディカルアフェアーズの働きを明確化することも役割です。

その他にも、グローバルチームとの連絡を密にすることで、グローバルチームの一員として日本がどのように貢献するか?ということを考えるのも役割です。

MSL (Medical science Liaison)

外勤をメインに行う職種になります。

コマーシャルの場合は製品の売り込みを行うわけですが、MSLの場合は違います。

製品の価値が最大化するUnmet medical needsを医師との議論で探すことが主な仕事です。

つまり、医療上の課題をどのように製品で解決できるか?もしくは製品を使う上で解決すべき問題はなにか?についてインサイトを取ることになります。

コンサルっぽい感じでクールですよね。

ただし、使う道具はビジネス上のデータではなく、学術論文です。

つまり、サイエンスで医療上の課題をみつけることが仕事です。

そのため、議論の相手は普通の医師ではなく、教授や准教授などのいわゆるキーオピニオンリーダー(KOL)ということになります。

メディカルアフェアーズ部門に入った際に、一番最初に行う可能性が高い職種です。

どんな方がMSLに向いているか興味がある方は『製薬企業メディカルアフェアーズの外勤、MSLに求められる資質』をあわせて参考にしてください。

Medical information

かなり守備範囲が拾い職種です。

電話問い合わせからUnmet medical needsを探ったりということが一つの業務です。

問い合わせから有害事象のポイントであったり、明確になっていない製品の特性などを探ります。

他にも、講演会で使うスライドの作成について管理を行うこともあります。

Data generation

量的なUnmet medical needsを得ることが目的の職種です。

学術論文のレベルでデータを作ることが仕事です。

近年のReal world evidenceの重要性や手軽さから、拡充している職種です。

データジェネレーションの重要性について興味がある方は『製薬企業メディカルアフェアーズでデータジェネレーションが活発になっている背景』をご参照ください。

教育

メディカルアフェアーズ部員の教育を行う部門もあります。

科学的思考、論理的思考、英語などについて学習の機会を提供します。

まとめ

今回はメディカルアフェアーズの仕事内容と職種についてまとめました。

医療のUnmet medical needsに立ち向かう仕事です。

医療上の課題に対して適切な製品の使用方法を探し、広めることが目標です。

ずぼら@元医師

ずぼら@元医師

製薬企業勤務、元医師

40代前半、2児の父。臨床医10年後に外資系製薬企業に就職。メディカルアフェアーズ所属。臨床医時代は臨床病院メイン。
メディカルアフェアーズメインの製薬企業情報、英語について情報発信。
今後、医療のDXが進むといいなぁ。
好きな言葉:効率がいい。楽。
課題:英語 (VERSANT 55点)

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