今回は製薬企業への転職を考えた医師が転職エージェントを選ぶ際のポイントをお伝えします。
私は20社、40人以上のエージェントと、製薬以外の選択肢も含めてコミュニケーションをとってきました。
一番大事なことは製薬企業へ転職することは手段であり、目的ではないということです。
手段が目的化してしまうことは往々にしてあります。
製薬企業に行きたいと思っていても、実は他の職種のほうが先生のやりたいことに近い可能性があります。
私個人としても、製薬企業にいることについては、今は後悔していないですが、以前は後悔していた時期もありました。
詳しくは『コンサルへの華麗な転職に失敗した製薬企業勤務の元臨床医の話。初動のエージェント選びは重要』をご覧ください。
今回は、そういったピットフォールを回避するための転職エージェントの選び方をお伝えします。
目次
転職エージェントは必須
転職の際に、転職エージェントは必須です。
特に医師の場合は製薬企業のツテはほとんどなく、製薬企業に勤める医師のセミナーからとか、担当のMRに聞くなどの方法で製薬企業にアプローチする方がいます。
このような方法はおすすめしません。
情報が製薬に偏ることが一つの理由です。
製薬企業からの直接の情報収集は1次情報が得られるという点では非常に良いことです。
一方で、それだけで転職となると他の選択肢を気づかないことがあります。
具体的にはコンサル、ベンチャー、今まで気づかなかったタイプの臨床医、などです。
したがって、ツテについては製薬業界についての情報の一つとしてとどめておくほうが無難だと思います。
また、給与についてもツテで製薬に入った医師は低く抑えられてしまっているのも気になります。
以上のような理由から、製薬企業への転職を考えた際は転職エージェントの登録が必須です。
転職エージェントを選ぶ際の基本的な考え方
転職エージェントへの登録は必須ですが、選び方には注意が必用です。
最も大きな問題は、製薬以外の選択肢を入れているかどうか?です。
私は製薬企業で医師が働くこと自体は良い選択肢だと思いますが、先生にとって本当に良いことかどうかはわかりません。
本当に先生にとってよい選択をするには、製薬以外も選択肢に入れることが重要です。
そのためには、以下の3点
- 複数のエージェントに登録すること
- 製薬に特化しない転職エージェントにも登録すること
- 医師転職エージェントにも登録すること
が基本的な考え方になります。
複数エージェントへの登録
複数エージェントへの登録をおすすめします。
求人だけが理由ではありません。
エージェントとの相性の問題です。
先生のニーズや良いところを引き出してくれるかどうか?という相性です。
このミスマッチは悲惨なことになります。
複数エージェントに登録して、相性がよい担当と転職活動を続けてください。
私は40人以上のエージェントと話ししていますが、本当に話が通じると思っているのはわずかです。
したがって、最低3社、できれば5社程度、登録することをおすすめします。
複数に登録するのは仁義に反すると考えているかもしれませんが気にすることありません。
普通のことです。
特定のエージェントの紹介で就職したとして、他のエージェントといざこざがあるなどということはありえません。
医師は医療分野で需要が高く、いくらでも転職できるため、エージェントたちも次のチャンスを常に狙っています。
したがって、先生との関係をあえて悪くすることはありえません。
強いて、複数エージェントに登録するデメリットをあげると、時間を取られることがあります。
どこのエージェントもたくさんの案件をもってきます。
忙しい日常生活の中において、転職活動に時間を多くの時間を費やすというのは現実的でないかもしれません。
そのあたりは、自分の好みだと思う案件だけ話をするようにしてください。
最近ではwebでの面談も一般化しており、以前と違って準備にかかる時間も少なくなりました。
先生のニーズをしっかりと引き出した転職活動を行うというメリットを考えると、十分に見合った労力だと思います。
具体的なエージェント選定戦略
複数登録とはいえ、どんなところを選ぶとよいでしょうか?
大手一般転職エージェントから2ヶ所、医師転職エージェントから2ヶ所ぐらいを聞くのが良いと思います。
私のオススメは広い選択肢をもった大手の一般転職エージェントと医師転職エージェントへの登録です。
大手一般転職エージェントへの登録
2社程度は大手一般転職エージェントへの登録をおすすめします。
この場合の大手はJAC、エンワールド、CAREERCARVER(リクルート)、ランスタッドなどを想定しています。
これら大手の転職エージェントは複数領域にまたがって情報をもっているからです。
つまり、製薬に限定しないキャリア形成を考えることができるということです。
医師は臨床やアカデミア以外の選択肢について多くを知らないことが多いです。
自分の本当にやりたいことについて理解するには情報量が足りません。
大手の転職エージェントはこういったところをまかなうことができるということです。
私は製薬企業に特化したエージェントを使って医師から製薬企業に転職しました。
他に選択肢があったなぁと強く後悔したこともあります。
せっかく、医師以外の選択肢を考慮に入れた先生方に同じような効果はしてほしくないと思っています。
ぜひ、大手一般転職エージェントにも依頼することをおすすめします。
医師転職エージェントへの登録
医師転職エージェントにも2社程度は登録することをおすすめします。
医師転職エージェントを使うべき理由は、先生のやりたいことが実は臨床でも可能かもしれないという点を考慮してほしいことと、医師免許の有効活用という視点でも考え直すチャンスを持つべきだと思っているからです。
そもそも、医師転職エージェントでも製薬企業への就職も紹介しているエージェントもいます。
通常の転職エージェント企業とは違った目線でニーズを引き出してくれるので、製薬に行くにしても重要なポイントになります。
医師としてやりたいことベースで再検討
臨床医として、本当にやりたいことが実現できないのか、もう一度考えてみる機会があっても良いと思います。
特に若い先生方だと、他の病院を見る経験が少なく、臨床医としてのみの立て方の知識が十分でない可能性があります。
医師転職エージェントと話することで待遇の面、都会や田舎の違い、専門科の変更、部長職への距離など様々な情報に接することができます。
臨床医のまま、先生の臨む仕事や環境があられるのであれば、それも選択肢だと思います。
私は製薬企業に内定して受諾した後に、医師転職エージェントから『新しいことしたいんだったら、病院長という選択肢もありますよ?』って医師転職エージェントから言われました。
当時30代中盤の私にそんな選択肢は全く思い浮かばなかったので、びっくりしました。
たしかに、ヘルステックとかやりたいんだったらそっちの選択肢もあったなぁと思いました。
皆さんにはこういう経験はしてほしくないので、製薬企業を紹介できる医師転職エージェントにも相談することをおすすめします。
医師免許の有効活用
医師免許の利用方法としては企業への一般の転職のみならず、産業医や保険の査定など、普通の臨床医がよく知らない業態があります。
また、遠隔診療など最新の分野で医師の知見が必用とされていたりもします。
そういった情報については医師転職エージェントのほうが詳しい可能性が高いです。
一般の転職エージェントのメインの仕事は、医師以外のヘルスケアセクター全般についての転職相談だからです。
医師免許を最大限に活用することで、製薬以外にも先生が興味がある領域が見つかる可能性もあります。
したがって、医師転職エージェントに一度はご相談することをおすすめします。

ずぼら
臨床も含めて、医師免許を最大限に活用するという点で、医師転職エージェントへの相談も検討してください。
まとめ
今回は製薬企業への転職を考えた際にエージェントを選ぶ際のポイントについて記載しました。
以下を抑えてもらえると私のような痛い目を見ずにすむはずです。
- 常に製薬企業以外の選択肢も残すこと
- 複数のエージェントに登録すること
- 大手の一般転職エージェントへ登録すること
- 医師転職エージェントにも相談すること

ずぼら
製薬自体は悪い選択肢ではないですが、広い視野で転職活動すると、より後悔のない転職ができると思います。